かわらばんブログ ―――「この国の民主主義は形だけでいい」

掲載日:2019/07/09

本当に久しぶりに登場した社会派作品『新聞記者』。いま、この時代に政権を正面切って批判する、こういう作品がつくられたことに拍手したい。

前川喜平さんの「出会い系バー」報道や伊藤詩織さんの性被害、加計学園問題を思わせる事件が次々登場し、改めて怒りが沸いてくる。

松坂桃李のような人気俳優が出ているのがまたいい。「どんな映画か知らないまま、松坂見たさに出かけて行ったが、見てよかった。考えさせられた」というような若い人の意見が散見されるからだ。

公開されてまもなく、公式サイトがサイバー攻撃を受けてサーバーがダウンし、さらにテレビのプロモーションが拒否された。だがそれでも観客動員が好調なことが救いだ。2週目に入ってさらに伸びたという。映画の力はまだまだ大きい。これがきっかけになってかつての黒澤明・山本薩夫・小林正樹監督のような骨太な作品が生まれることを!

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映画『新聞記者』は望月衣塑子さんの同名の著書を元にしたものだが、公開と同時期に出版された望月衣塑子さんら同調圧力の『同調圧力』(角川新書)も評判だ。

第1章「記者の同調圧力」を望月衣塑子さんが、第2章「組織と教育現場の同調圧力」を前川喜平さんが、第3章「メディアの同調圧力」をマーティン・ファクラーさんが分担執筆。巻末には3人の「同調圧力から抜け出すには」も収録されている。と聞けば映画の帰りに本屋さんに寄ることになりそうだ。